ヴィーガンティラミス。
やっと完成しました。
ティラミスをマスカルポーネから作るように、ヴィーガンティラミスもヴィーガンチーズから作ります。
ヴィーガンチーズ
数ヶ月前にベジタリアン生活に戻ってから、ヴィーガンチーズを試作するようになりました。Vegan Cheeseと検索すると、たくさんのレシピが出てきます。
大まかには、ナッツから作るもの、お豆腐から作るもの、豆乳から作るものの3種類。私は以前はカシュー派でした(発酵させないタイプ)。というより、その頃はカシューが主流だった。海外のレシピを参考にするとほとんどがカシューなんですよね。
カシュー、ニュートリショナルイースト、レモン、白味噌がベース。それはそれでとても美味しい。でもやっぱりカシューになってしまう。うーん、、、チーズというよりナッツ。個人的にはそんな感じでした。
最近は日本でもヴィーガンレストラン、ヴィーガンシェフが増えて、日本流の、日本で手に入りやすい食材を使ったチーズのレシピを目にする機会が増えてきました。
中でも、日本のソウルフードとも言えるお豆腐を使った豆乳クリームチーズは、ヴィーガンレストランでは門外不出の秘密のレシピみたいなものがあるのだと思います。
銀座のAIN SOPH.ができたばかりの頃、ランチ後のデザートに食べたピンク色のビーツのティラミスの美味しさが衝撃的でした。植物性の材料だけで、あのクリーミーさと全く豆乳臭くないコクのあるティラミスが作れるなんて!
(AIN SOPH. HPより)
メニューには「オリジナルの豆乳クリーム使用」と書いてあったので、豆乳クリームは販売していないのか聞くと「お問い合わせが多いのですが、豆乳クリームのみは販売しておりません」と言われました。みんな同じこと考えてるのね(笑)
それから家で何度か試作してみましたが、まぁこんなもんか…という程度ですっかり諦めていました。だけど、去年から本格的にフィットネスの世界に飛び込んで、そろそろ動物性乳製品をカットするシーズンに突入するので、また試作を繰り返し。
最初にできあがったのがこれ。
まず、息子が振るってくれたカカオパウダーが多すぎて、むせます(笑)
ベースは、温めた豆乳にレモンを絞り、ホエイを分離させた”豆乳リコッタチーズ”から作った豆乳クリームチーズですが、ティラミスにするにはレモンが効きすぎ。舌触りも悪くて、なんとも不味いものに仕上がってしまった。
そこで、リコッタから作り直し。酸味を抑えて、テクスチャーをなめらかにするために極力レモン汁の量を抑えるところから。
そしてできあがったのが、こちら。
今度はむせないようにカカオパウダーも適量で。
見た目通り、断然クリーミーでなめらかな仕上がりになりました。豆乳臭さをなくすために、レモンゼストをたっぷり加えて。スポンジの代わりには、ヴィーガンクラッカーを使っています。
実は私、ティラミスのスポンジ部分が苦手です。あの甘くて、湿った食感がどうもダメで…去年イタリアに行った時、灼熱のローマで何度もティラミスを注文しました。どれもスポンジ部分が多くて、甘くて、ぬるい!正直、日本で食べるティラミスの方が美味しいです。
だけどやっぱりレイヤーじゃないともの足りない。そこで、ザクザクのホールウィートクラッカーと豆腐ガナッシュの3層にしました。
まずは豆乳リコッタチーズから
豆乳リコッタの手順も牛乳から作るリコッタと全く同じです。ポイントは、無調整豆乳を使うことと、温める温度。
豆乳リコッタチーズ
材料:
無調整豆乳 500ml
レモン汁 30ml (大さじ2)
塩 かるくひとつまみ
作り方:
❶ お鍋(ソースパン)に豆乳を入れて中火にかけ、70℃まで温める。
❷ レモン汁を加え、数回やさしくかき混ぜて、10〜15分置く。徐々にホエイが分離して、おぼろ豆腐のように固まってくる。
*やわらか仕上げのポイントは、ホエイと脂肪分が完全に分離していない状態にすること。ホエイがクリアではなく、少し豆乳色に濁った状態。
❸ ボウルにざるを置き、二重にしたチーズクロス(丈夫なペーパータオルでもok)を敷いて❷を注ぎ入れる。チーズが漏れないように、クロスの端はひねるか、折りたたむ。
❹ 冷蔵庫で2時間ほど水切りする。
❺ ボウルに移し、塩を混ぜて味を整える。
ココナッツホイップクリームを作る
豆乳リコッタに混ぜるココナッツホイップクリームを準備します。
材料:
ココナッツミルク(フルファット) 1缶(400ml)
てんさい糖(サラサラの溶けやすいもの)大さじ2(18g)
バニラエクストラクト 小さじ1/2
ココナッツミルクはAYAMがおすすめ。日本で販売されているココナッツミルクの中で一番濃厚で、ホイップクリームにしやすい。紀ノ国屋やamazonで販売しています。その他のココナッツミルクや、増粘剤入りのものではホイップできないことがあります。ちなみにこのミルクは、ココナッツヨーグルトにするにもベスト。
泡立てた後のココナッツ独特の質感。キメの細かさはココナッツミルクによっても違う。
準備:
ココナッツミルク缶は逆さまにして冷蔵庫で一晩冷やし、脂肪分を分離させる。
ホイップする15分前にボウルも冷蔵庫で冷やしておく。
作り方:
❶ ココナッツミルク缶を中身を揺らさないようにそっと冷蔵庫から取り出し、缶の上下をひっくり返して開ける。分離した水分を注ぎだし、脂肪分をスプーンですくい出す。予め冷蔵庫で冷やしておいたボウルに入れ、ハンドミキサーで泡立てる。*キッチンエイドよりハンドミキサーの方がベター。
❷ 5部立ちになったら、てんさい糖とバニラエクストラクトを加え、角が立つくらいまでホイップする。ココナッツミルクによっては水っぽく、ホイップできないことがあるので、その場合は、小さじ1/2の粉寒天を加えて混ぜる。
*しっかり泡立てないと後で作るクリームチーズがゆるゆるの仕上がりになってしまいます。
豆腐ガナッシュを作る
材料:
絹ごし豆腐 300g
*ローカカオパウダー(ヴァローナ) 20g
*メープルシロップ 大さじ2〜3
*ラム酒 大さじ1(なくても良い)
*ひとつまみ
ココナッツオイル 大2 (24g)
*冷やしたら固まる性質を利用したいので、オイルはココナッツオイルで。バージンでもリファインド(精製)でも構いませんが、私は無臭のリファインドココナッツオイルを使います。
❶ お豆腐は8等分に切る。水から火にかけ、沸騰したら弱火で10分茹でて、ざるにあげ水切りする。水を切った後は200gほどになる。
❷ 水を切ったお豆腐と*印の材料を全てフードプロセッサーに入れ、滑らかになるまで混ぜる。ココナッツオイルを加え、乳化するまで混ぜる。
❸ 保存容器に入れ、冷蔵庫で冷やし固める。
豆乳リコッタ、ココナッツホイップクリームを合わせて豆乳クリームチーズに。クラッカー、豆腐ガナッシュを重ねて、グラスに盛り付ける。
材料: φ65×H70 / 210ml グラス3個分
*冷やした豆乳リコッタチーズ 全量
*ココナッツホイップクリーム 200g
*メイプルシロップ 大2 (37g)
*ココナッツオイル 大1 (12g)
ノンワックスレモンの皮 適量
ヴィーガンクラッカー(Carr’s Whole Wheat Crackers) 6枚
エスプレッソ 適量
カカオパウダー 適量
冷やした豆腐ガナッシュ 好きなだけ
作り方:
❶ *印の材料を全てフードプロセッサーで混ぜる。ノンワックスレモンの皮を加えて混ぜる。
❷ グラスの底にクラッカーを1枚敷き、エスプレッソをしみ込ませる。その上に豆腐ガナッシュを重ねる。その上に豆乳クリームチーズを重ねる。これをもう一度繰り返す。
❸ 冷蔵庫で冷やし、仕上げにカカオパウダーを振るって召し上がれ。
*シロップは好きなもので構いませんが、メープルでほんのりティラミス色になります。
ヴィーガンティラミスは工程が多いように見えて、実はフードプロセッサーで混ぜるだけの簡単レシピ。しかも、応用が効くので色々とアイデアが浮かんできますよ!
ヴィーガンブラータ。
基本の作り方は同じ。甘味量はなしで、湯葉で包めばヴィーガンブラータにも。
このレシピはまた後ほど。
日本のヴィーガン
ヴィーガンというととても新しい響きに聞こえますが。日本でいうところの精進料理です。
精進料理は、仏教の戒めに基づき殺生や煩悩への刺激を避けることを主眼として調理された料理。私の母の実家は曹洞宗のお寺です。昔はよく檀家さんを集めた寄り合いがあって、お寺の大きな台所で檀家さんのお母さんたちが作った精進料理を食べる会が大好きでした。
お寺の精進料理は写真のような小鉢ではなく、漆塗りの大きめの器にワンプレートで盛り付けてありました。
お煮しめ、ひじき煮、煮豆、高野豆腐、白和、たぶ(九州の郷土料理)あらゆるお漬物など。私は特にだぶが大好きで、実家に帰る時は必ずおばあちゃんに”かしわご飯”と”だぶ”をリクエストしてた。おばちゃんが電話越しに「何が食べたいとね?」と聞いてくれるのを思い出すたびに涙が止まらなくなるのです…
私がヴィーガンに興味を持ち始めたのは、そんな背景があるからだと思います。曹洞宗のお寺の息子たちは、おそらくみんな福井県にある永平寺に修行に行くはず。一年間の修行の間、毎日三食精進料理ですから、料理もきっちり覚えて帰ってきます。だから私のいとこもヴィーガン料理上手。
インスタグラムで繋がった海外の友人たちが日本に来る時は連絡をくれたり、突然のDMで日本を案内してほしいとリクエストが来たりするのですが、その時は必ず懐石料理か精進料理のお店に連れて行きます。みんなとても喜んでくれる。デザートも和菓子屋さんは大喜びです。
私はヴィーガンではなく、ベジタリアン。乳製品は極力抑え、卵はアミノ酸スコアが100と、とてもバランスが良いので積極的に摂っています。殺傷をしてはならないという思想や、宗教からの食事制限ではないので、厳しいルールは全くありません。私以外はお肉を食べるので、「いただく」「残さず食べる」という事だけはきっちり教えています。
和食は残念ながら家族があまり食べないので、洋食と半々程度ですが、お菓子につては、息子が大の和菓子派。洋菓子は決まったものしか食べません。ヴィーガン、グルテンフリーのお菓子にこだわるなら、和菓子に返れば良いのだなぁと今になって気がつきました。
簡単なものから練習して、よくよくは練り切りを上手に作れるようになりたいと思っています。あんこも練習したい!
それでは、また。
Love,